ロタウイルス性胃腸炎やRSウイルス感染症など、感染症は、はじめて罹ったときが一番重くなりがちです。下痢や咳の兄弟がいるときに、一番下の子が一番症状が重くなるのは、年齢が小さいというだけでなく、初めてその感染症にかかったから、ということも要因の一つです。2回目以降の症状が軽いのは、体が原因となる病原体に対してあらかじめ準備ができているからで、この働きを「免疫」といいます。「免疫」がつくと、2回目にかかったときには、体がすぐにその病原体に対応できます。これを「免疫の獲得」といって、実際には、特別な細胞から、その病原体専用の「抗体」というたんぱく質が作られる準備ができたことをいいます。この抗体が、体内に侵入した病原体をからめとって、あるいは病原体に感染した細胞を見分けることで感染あるいは発症を防ぎます。免疫の働きのおかげで、2回目以降はおなじ病原体に感染しても、症状は軽く、期間は短くすみます。予防接種は、この1回目の免疫応答を人為的に起こすことで、特定の病原体に対して免疫を獲得するために行います。
加えて、新型コロナウイルスのパンデミックでも議論されているように、予防接種には、お子様本人を感染症から守る効果以外にも、ご家庭や学校などで周囲に感染させない役割や、医療費・医療資源を節約するといった効果があります。予防接種は生後2か月から始まります。お子様個人の健康を守ることに加え、社会全体を感染症から守るためにも、予防接種をうけられるようになったらなるべく早く接種しましょう。
ワクチンのしくみについてより詳しく知りたい方は、
「知っておきたいワクチン情報 予防接種の意義」(日本小児科学会)
が参考になります。
また、予防接種スケジュールや予防接種の基本を知りたい方は、
Know VPD! – ワクチンで防げる病気(VPD)を知って子ども達の命を守る
にわかりやすく解説されています。