日本脳炎は、コガタアカイエカというカが、豚に存在する日本脳炎ウイルスの血を吸い、次にヒトを刺すことでヒトが感染、100人から1000人に1人が発症する感染症です。いったん発症すると、高熱や頭痛、嘔吐、けいれん、意識障害を起こし、ウイルスを殺す治療法はありません。死亡率は20~40%で、45~75%で麻痺などの後遺症を残します。日本では2005年から2014年までの10年間に56人が発症、3人がなくなっています。毎年10人程度の感染者が報告されており、患者の多くは予防接種を受けていない高齢者ですが、2016年には、千葉県で生後10か月の乳児での発症例が報告されています(※1)。
日本脳炎ワクチンは生後6か月から接種できます。日本脳炎の感染リスクの少ない宮城県にある当院では、標準的な接種年齢である3歳からの接種をお勧めしています。一方で、千葉県を含む、日本脳炎罹患リスクの高い地域(※3)では、生後6か月からの接種が推奨されています(※2)。国内では関東以西、国外ではインドなどの南アジア、東南アジアへの居住を予定される方では、希望されれば、生後6か月からの接種をおこなうこともできますので、ご検討の際にはご相談下さい。
ちなみに、コガタアカイエカが生息しなかった北海道では、平成28年4月になって、はじめて日本脳炎ワクチンが定期接種化されています。
※1 2015年夏に千葉県で発生した日本脳炎の乳児例(国立感染症研究所)