感染症が理由で発症するがんには、ヘリコバクター・ピロリによる胃がん、C型肝炎ウイルスによる肝細胞がん、ヒトパピローマウイルスによる子宮頸がんなどがあります。このうち、子宮頸がんは、日本でも年間1万人以上が発症し、約3000人が死亡しています(がん統計)。また、死亡しなくても、子宮摘出などによってこどもを産めなくなってしまうなど、女性の人生に与える影響が大きいがんです。4価子宮頸がんワクチンによって、子宮頸部浸潤がんの発症リスクを63%減らせる(リスクが1/3になる)こと、さらに、17才以下で接種した人では、その発症リスクが88%減少(リスクが1/10に減少)したことがスウェーデンでの研究(研究についての解説サイト)から明らかになっています。日本では、令和4年4月から子宮頸がんワクチンの積極的勧奨が政府によって再開されています。しかし、これまでの積極的勧奨の差し控え期間が長かったことから、接種を迷っていらっしゃるお母様、ご家族も多いと思います。
子宮頸がんワクチンを受けるか受けないかについては、ワクチンの効果だけでなく、副反応の内容や確率も含めて、正しい情報をもとにご判断いただきたいと考えています。たとえば、医師が中心になってHPVワクチンや子宮頸がんを解説している以下のサイトをお勧めします。
「みんパピ!みんなで知ろうHPVプロジェクト」(一般社団法人「HPVについての情報を広く発信する会」)
インターネットやSNS上の不正確な情報にとまどっている間に、毎年、防げるはずだった3000人近くの女性が亡くなっています。ワクチンについてのご不安やご心配については、当院を受診される際には、随時、ご相談ください。