百日咳は長引く咳を特徴とする感染症です。特に生後6か月に満たない赤ちゃんが感染すると、肺炎やその特有の咳による呼吸障害のほかに、無呼吸発作によって脳に十分な酸素が送られず、けいれんから呼吸停止に至ることや、脳症による後遺症を残すなど、重症化することがしられています。百日咳は、ワクチンによる予防が可能で、生後3か月から接種を始める四種混合ワクチンに含まれています。しかし、ワクチンによる感染予防効果は次第に減ってゆくため、小学校に入学するころには、ふたたび百日咳に感染するようになります。実際、日本での感染者のピークは小学生で、4歳から15歳に大きな感染者の山があることがわかっており、感染した人のほとんどで、4回の四種混合ワクチンを完了しています(百日咳届け出数グラフ 2018年から2020年の3年間)。ですから、生後6か月に満たない赤ちゃんを百日咳から守るには、赤ちゃんのお兄ちゃんお姉ちゃんを百日咳から守ることが大切です。
日本小児科学会では、百日咳から赤ちゃんを守るために、5~6歳、または11~12歳での三種混合ワクチンの接種を推奨しています。就学前のMRワクチンと同時に三種混合ワクチンを接種できるほか、11~12歳では、二種混合ワクチンのかわりに、三種混合ワクチンをうつことができます。任意接種のため、費用は自己負担ですが、特に1歳に満たない兄弟のいるお子さんでは、就学前の三種混合ワクチンの接種をご検討下さい。
参考:百日咳(国立感染症研究所のページから引用)