おやま小児科クリニックでは、これまで新型ウイルス感染症対策として、待合スペースから絵本を撤去してきました。しかし、新型コロナウイルス感染症の伝搬様式に対する科学的知見が集まり、インフルエンザウイルスやノロウイルスよりも接触感染リスクの低いこと（ドアノブなど、頻繁に触れられる物質表面からの感染リスクは１万回に５回未満。注１）が明らかになっています。そのため、３月から、待合室に絵本などを置くように変更しています。
さっそく絵本をもって診察室までやってきて、お気に入りのページを示してくれる子や、本を読みたいといって帰りしぶる子がでてきて嬉しい限りです。新型コロナウイルス感染対策としては換気がもっとも重要であることに変わりはなく、窓と診察室ドアを開けての診療にかわりはありませんので、ひき続き外の寒い空気を我慢しながらの診療には違いはありません。しかし、春はすぐそこまで来ています。花粉症は悩ましい限りですが、絵本をみせに来るこどもを診察するときには、一歩づつ日常がもどってきているのを感じます。
参考：Ｎａｔｕｒｅダイジェスト「稀な接触感染 続く徹底消毒」04 Feb. 2021
注１：Longitudinal Monitoring of SARS-CoV-2 RNA on High-Touch Surfaces in a Community Setting Harvey, A. P. et al. Environ. Sci. Technol. Lett. 2021, 8, 2, 168–175