2020年11月から2021年10月にアメリカで行われた研究報告です。少なくとも1人以上の5才未満の子どもがいる175世帯、690名が参加した前向きコホート研究によると、18才以上の成人では無症候性の感染者は約7人に1人(14.8%)であり、症状の数と血中ウイルス量は相関していましたが、18才未満では無症候性の感染者は約3人に1人(36.7%)であり、血中ウイルス量と症状の数は相関していませんでした。
オミクロン株出現以前の研究であることに留意は必要ですが、18才未満の小児の3人にひとりが無症候性の感染で、さらに症状数とウイルス量は関係しないということですから、発熱や咳などの症状があるから学校を休むという方法では小児の感染者の3人にひとりを見逃し、さらに無症状だから他人に感染させる可能性が低いともいえないという結論になります。これは、感染者が多くなればなるほど、無症状のまま学校やこども園ですごす感染した子どもたちも多くなり、症状の有無で感染者を隔離することの限界を示しています。コロナウイルスに暴露されない対策の限界を知り、より現実的には、コロナウイルスに暴露されても感染しない対策、現時点ではワクチン接種が現実的な対策のひとつであることを再認識させる研究報告です。
また、成人では症状の有無による隔離が合理的な対策であるとしても、小児では必ずしも合理的でないことを示唆しています。
Clinical and Virological Characteristics of SARS-CoV-2 Infection in Young Children
Ruth A. Karron et al, JAMA August 31, 2022